「ねぇー、でもアキラさんってさなんでいつも電話出ないの?気にならない??」

昼休みになり、サンドイッチを食べ終えたショウコは、突然そんなことを言った。

「いやあ。気にならない、ことはないんだけどさ。仕事だし。大人ってそういうもんじゃん?後でかけ直してくれるし。」

そういうとショウコは納得いかないように眉をしかめてうーんと唸った。

「もしさ、もしだよ??そのあいだに浮気とか、考えない?」

浮気?
浮気って...(笑)

「ないよー。いつも好きって言ってくれるもん。」

ニターと笑ってみせるとショウコは困ったような顔をしてため息をついた。

「まぁカヤノがいいって言うならいいけどさ。」


そう、浮気なんて無い。
私もアキラもお互いをわかりあってるし、辛い時は支え合う。
毎日って言うほど好きって言ってくれる。
好きって感じるから、浮気なんてありえない。

私は自身に満ち溢れていた。








「え、出張?」

放課後、校門から少し離れたところまで迎えに来てくれたアキラの車に乗りこみ少し走った時、アキラは急な出張が入ったと言った。

「そうなんだよ。急に上司から出張があるって言われてさー。北海道だって言うから俺もビックリだよ。」

北海道って。

「どのくらい??」

「とりあえずプロジェクトが終わり次第だから1ヶ月とか。」

1ヶ月かぁ。
長いなぁ。
なんだかしんみりしてきた。

俯いてると、赤信号で車が止まった時アキラは私の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でた。

あぁ、気を使ってくれてるんだなぁ。

無理やり口角を上げると振り絞るように行ってらっしゃいと言った。



その日、寮に帰ったのは夜中の二時頃だった。