『でも、あたしには彼氏がいますから・・・』



「もちろん、いますぐとは言わないからその人と別れた後でいいよ」



何よ


この言いっぷり!


まるであたしと圭が別れるみたいじゃない!!



「なんでいつもいつも・・・」


「会社のためだ、拓磨。いや、次期社長」




「帰る」


そう言って立ったのはお兄ちゃん


「ほら、遥。帰るぞ・・・・」


「まだ食事の途中じゃないか」


お父さんにそう呼び止められる



「こんな話されて、勝手に・・こんなこと決められた遥の気持ち、考えろよ!」






お兄ちゃんの声は、低く、震えていた


あたしよりも、怒っていたのはお兄ちゃんだった




だからかな・・・



あたしは怒ることができなかった