朝から衝撃的なことを聞かされて、隣の席の人が来るのが怖くてずっとあんずの隣にいた。



ぞろぞろと教室に入ってくる知らない人たち。この人たちが今日からクラスメイトなんだ。



「真琴、そろそろ戻りなよ」



「あんずはいいよね…寛大が隣なんだから…」



「俺は嫌だけどな、」



「え?え?え?え?何言ってるかわかんなーい!」



楽しそうに笑い合う。私もそこに行きたい…!!!!



「ほれ、さっさと戻れ」と追い払われるようにされて、渋々自分の席に戻る。



隣の席を見て、ホッと一息。まだ来てない。



特に何をするわけでもなく、携帯を開いた。



そのまま、携帯に夢中になっていて、いつの間にか教室は人が沢山いた。



その時、隣の机に何かを置く音が右から聞こえる。身体がビクッと反応した。



眼球だけを動かして何とか右を見る。




赤いネクタイに少しだけダボッとしてるシャツ。ピョンピョンと跳ねている髪の毛。



綺麗な目。赤い唇。綺麗な鼻筋。




部分的に見れば少し女性的なパーツばかりだけど、全体的に見ればものすごく端正な男性の顔。



「…、何?」



「….、」



「…おい、」



「…えっ?!」



「…顔になんかついてる?」



隣の席の人が…口を開いた。声を出した。



いや、人間だから声は出すけど。あまりにも突然過ぎて頭が回らない。



「私?」と聞くと「お前以外に誰がいんだよ」と鼻で笑われた。



「初対面でそんながっつくように見つめられたら怖いんだけど?」



そう言われて気づいた。



眼球だけで見ていたつもりが、いつの間にか身体ごと早崎くんに向いていて、見つめていた。




かぁっと顔が熱くなる。そんな私を他所に、早崎くんはワザとかワザとじゃないのか、顔を隠そうとした手を掴んで私の顔を見ようとする。




「ちょ、…やめてよ、」



「なに、照れてんの? 」



「ちがう、…」



「へぇ、違うんだ?」




嘲笑うようにハッと鼻で笑って「まぁいいや」なんて掴んだ手を離す。




掴まれた部分だけが、熱を持っていた。




「アンタ、名前は?」



「葉山…真琴、」



「ふーん、」



何なんだろう、この人。



あんずと寛大の言ってた通り、顔はもんのすごくイケメンだけど!!!!




性格!!!性格ヤバくない?!