「・・・・・・・斗季。斗季は今誰を見てるの?ずっと、ずっと。誰を見てるの?」


「え?誰って?」


「とぼけんな!!ずっと、有紗探してんじゃないの!?いい加減前に進めよ!!有紗は、有紗はここにいないんだよ!!分かってるくせに、いつまでも気の抜けた顔してんなっ!!有紗の気持ち考えろよ!!有紗、最後なんて言ったと思う?斗季に愛してるって言って。って私に言ったんだよ!!最後まで有紗の心の中にいたのは斗季なんだよ!!それなのに斗季がそんなんじゃ、有紗がっかりするよ!!」


そう言って、朱里は走って行ってしまった。


「・・・・・・お前は朱里より弱いぞ。誰だって辛いんだよ。だから、お前もそろそろ進めよ。」


昴が突然来て言ったと思ったらすぐに朱里を追いかけていった。


追いかけられる。


それすら、羨ましい。


「斗季君。これ。朱里から預かってきたんよ。ここで、読んで欲しいて。」


そう言うと樹哉も行ってしまった。


俺の手の中にあるのは大きな封筒。