それから彼の部屋には、頻繁にお邪魔するようになった。
得も言えわれぬ寂しさに襲われる夜、電話をすれば、必ず「うちにおいで」と言ってくれるのだ。
そのうちに私は、彼のことを「ソウちゃん」と呼び、彼は私を「優梨」と呼ぶようになった。
約束通り、カットモデル(という名の実験台)にもなってあげた。
私の注文が細かくて、だいぶ困らせたと思うけど、今の髪型は結構、気に入っている
ソウちゃんがお休みの月曜日には、私が在学している大学に一緒に行ってみたりもした。
彼のアイドルみたいなルックスと、シルバーアッシュのド派手な髪色は、目立つには十分だったようで、私まで沢山の視線を浴びてしまった。
後から友人に「あの人誰!?」と問い詰められたのは言うまでもない……。
ソウちゃんの人懐っこい笑顔や、優しい声は、自然と私の心を満たしてくれる。
でも……
「ソウちゃん、一緒に寝ようよ」
「ダメ」
「なんで?」
「ダメなもんは、ダメ」
未だに体の関係は
ない。
同じ部屋で、同じ夜を、幾度も過ごしたのに。
それが切なくて、もどかしい。