「なに、言ってみ?」
「や、本当になんでもないですっ」
さらに手を振る。
ダメだっ、首かしげるとかっ、胸が痛い!
「顔、赤いよ?」
──ぴた。
頬に感じたのは先輩の手のひらだ。
「え、あ、せ、……先輩?」
「言ってみなよ。聞くから」
「……言ったら、先輩困りますよ?」
「…………」
ほら、黙っちゃったじゃん。
もう困らせた。
「だからいい、」
「いいよ」
「へ?」
目を丸くした。
目の前で笑う先輩に胸が高鳴る。
そして、先輩の強烈な言葉にさらに高鳴らせた。
「彼氏だから。遠慮なくどーぞ?」
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