子犬男子に懐かれました




私はそんな壮介くんの胸に顔を埋め、ぎゅっとさらに抱きついた。


「…大好き、ずっとずっと言いたかったから今すごい幸せ」


「…ちょ、皐ちゃんそれ反則」



クイッと顎を指で上げられ、



「ん…っ」


そのまま壮介くんの唇が重なった。


気持ちが通じ合ったキスは甘くて、優しいキスだったーー。








……




2人でベットでごろごろ寝ていると、


「ねぇ皐ちゃん覚えてる?」


「ん?何が?」


壮介くんの腕枕で寝そう…



「俺達、実は道端で会ったのが初めて会ったんじゃないんだよってやつ」


「あっ!」



そういえばーー!


……



『さっきさ、皐ちゃん俺と初めて会った時子犬みたいだ。って言ったでしょ?』


『それがどうしたの?』


『実は俺ら、それよりも前に一度会った事あるんだよ』


『えーー…?』


……







「そういえばあった!私すっごい気になってたんだからね!」


確か次の日もモヤモヤしてたのを思い出した。



「教えてっ、壮介くん!」


「カラオケ」


「え?カラオケ?」



カラオケって…私と壮介くんカラオケで会ったりしたっけ?



「俺が絶望的な事件があって、カラオケ抜け出した時に皐ちゃんが俺にぶつかってきた」


「え……」



頭をフル回転して思い出す。


……カラオケ


……カラオケ






「………………………は!」







「おおお思い出した!」



確か、優也くんとの最悪の出会いだった合コンの時だーー。


……



ーーードンッ



『……いてぇ』


『すいません…っ』



制服を着た、暗い顔した男の子とぶつかったのを思い出した。



「嘘でしょう……あの時ぶつかった男の子壮介くんだったの?」


「すげーよな、俺もよく顔覚えてたなーって感心するわ。

だから道端で俺見つけてくれた時正直びびった」


「なにそれ、早く言ってよ」



でもなんだか嬉しくて、



「運命みたい」


「え、皐ちゃんもそんな事言うの?」


「……もういい」



最悪。

言って後悔した。







「ちょ、ごめんって!

皐ちゃんこっち向いてお願い!」


「……」


「皐ちゃん〜」


「……うるさい、もう寝る」


「えー、付き合って1日目なんだしもっとラブラブしようよ」



後ろからぎゅーぎゅー抱きつく。


全く…






ーーーちゅ


私は後ろを向き、壮介くんに軽く口づけた。



「………え」


「おやすみっ」




布団に潜り込み、私は恥ずかしさもありすぐ目を閉じた。



「ちょっと皐ちゃーん!不意打ちはダメだってば」


「……」


「ねぇー、もう寝んの?」


「うるさい、ほら一緒に寝るよ」


「……はい」






そんな私達はあっという間に夢の中。



ベットの中で、きゅっとお互いの手を握りしめながら。





ーーENDーー





俺の彼女の皐ちゃんは、思っている事を口に出さないが、顔にすぐ出るから分かりやすい。



「ねー!壮ちゃん、今日皐ちゃんとデートだったりする?」


教室で花がバカでかい声で叫ぶ。


…最悪、んな大きい声で彼女の存在知られたらーー、



「え!は!壮介彼女いんの?!」


ほらな、和がまずうるさく食いつき、



「嘘でしょう…」


「皐って誰?」


「あたし、狙ったのになー」




ミスターになった俺だ。

正直、モテる。



皐ちゃんの為にも花だけ話していて皆んなには内緒にしていた。







「おい!壮介」


「なに…別にいるけど」


「ま、まぢかよ…いつの間に…皐って誰?教えろよ」



和が俺の肩に腕を回し、距離を縮める。


「ちけーよ、てかお前会った事あるんじゃない?帰り道でスーツ着て泣いてた女の子、あの子彼女」


「………げ、あの美人?」



ふん、絶句してやがる。


皐ちゃんは美人だ。

本当に綺麗。



「……大人……」


「おい和、固まんなよ」


「どうやって年上美人落としたんだよ、教えろ壮介!」


「うるせーうるせー、もうデートだから帰るわ!じゃーな」


「逃げんな!おい…っ!」



まぢでうるせー。

花と言い合いになると、動物園以上にうるさくなるくらい。







ーーピコ


【もういるよ、まだ?】


皐ちゃんからだ。

和のせいでちょっと遅れちゃったなー。





俺は急いで集合場所に行くと、こっちに向かって笑顔で手を振る可愛い彼女がいた。


「皐ちゃん、ごめん!ちょっと和に捕まってて……」


「そうだったんだ。私もそんなに待ってないから大丈夫だよ」


「ごめんな?

…….じゃー、行こうか」



俺が手を差し出すと、当たり前かのように握る皐ちゃん。


手を繋ぐ事が当たり前になってきているのが嬉しかったりする。



「本当に楽しみっ」


皐ちゃんがわくわくしてるのも分かる。

今日は俺も皐ちゃんも大好きな洋画のパニックムービーをこれから映画館で見に行く。






今日なにした?

今日どんなことがあった?


そんな、会話をしながら歩いて映画館の入っているショッピングモールへ向かったいると、



「ねぇ壮介くん………」


「ん?」


「……や、何でもない」



いや、俺には分かる。

その下がった眉は何かあった時に出る表情だ。


「なに?言って」


「………あの、さ…気のせいだったら悪いんだけど…さっきからそこら中からの視線が気になるんだけど」


「え?」



皐ちゃんに言われ、辺りをよく見渡すとーー、







「やばいっ」


「絶対ばれたんじゃない?!」


「まって、彼女美人過ぎる」


「年上だったの?」







………最悪