浴室から出てきた私をみて、ショウタが再びイスに座った。


「子どもができたって、俺に言いにくかったか?」


やっぱり、少し困ったような表情で聞いてくる。


「そういう訳じゃないの。
私達、セフレだったじゃない。
それで納得してたのよ。

好きって言わない、会いたいって言わない、そう決めてた。

妊娠してるかもって気付いた時に、産むっていう気持ちしかなかった。
これから社会人になるあなたの未来はこれからだから、責任を負うのは、私一人で良かった」



あの頃のことを思い出しながら、表情を変えずにいるショウタの顔を見ていたが、視線をテーブルのお茶に移した。