「……なんで言わなかった?」


初めて聞く低い声に、少し驚く。


「なんでって……ちゃんと付き合ってた訳じゃなかったし、ショウタはこれから就職なのに、結婚とか子どもとか、無理だったでしょ?」

「……………なんで産んだ?」

「…………産みたかった…それだけ」


頬をパシッと叩かれた。


「お前はバカなのか!
なんで言わねぇんだよ。
なんで言ってくれなかったんだよ」



それだけ言って、両肘をテーブルについて手で額を隠すようにおいた。