日本全国に転勤の可能性がある仕事の母が、子育てを手伝うことはできない。
隣の県の叔母のところを勧めてくれたのは、母の妹で子供がいない叔母夫婦に私が可愛がってもらったからだろう。
短大に入学の時、母は遠くはなれた所に転勤になったので、実家からギリギリ通える範囲の学校だったが、学校の近くに一人で暮らすことになった。
それ以来実家には住んでいない。
父が建てたこの家を、この数年間住んでなくても手放してはいない。
母の転勤もあり、ずっと住んでいたわけではないが、私もこの家に愛着がある。
ここに帰るつもりでいたが、母は私が一人になるよりも叔母のところを勧めてくれた。
私を産み育ててくれた母が、勧めるには色んな理由があるのだろう。
私の人生が大きく動き出した。
反対されても産むつもりだった。
でも、私も赤ちゃんも幸せになってほしいから、という母の言葉を思い出して、布団に入ってから、数年ぶりに泣いた。