「訳はないの、私は産むの」
「産んじゃダメとは言わないから……」
「だから……」
え?
ダメじゃないって?言った?
「で、どうするって?」
落ち着こうと必死の母が聞こうとする。
「仕事は1月の半ばで辞めて、引っ越すわ」
「ここに住むの?」
「だめ?」
「ダメじゃない。けど、頭が回らない。
あまりにも話が急で。
本気で産むつもりなの?」
「産むわ」
大きく息を吸って、ふう、と吐き出した母の顔が目線を下げた。
「ちょっと……今は何て言っていいかわからない。
もう、寝るわ。
明日、また話しましょう」
立ち上がって寝室に行ってしまった。