「そうか。俺にチャンスはないのか」
「もう決めたこと、だから」
分かった、と呟いてコーヒーを飲んだコバヤシさんに合わせて、私もコーヒーを飲んだ。
コーヒーが無くなるまで、ミズトの年齢や体調のことを聞かれるまま話した。
長居はしたくない、とコーヒーを飲み終わると伝票を持って立ち上がったが、俺が、と伝票を私の手から取ってあるき出した。
追いかけて、会計を済ませたコバヤシさんにコーヒー代を渡した。
「いらないよ、でもどうしても払いたいならこうするけど?」
とレジの横の募金箱に渡したお金を入れようとした。
ちょっと驚いて思わず笑ってしまった。
「じゃ、それでいいわ」
そう言うと、私が払おうとした小銭は募金箱に納まった。