「マイカ………」
一瞬だけきつく抱きしめて、その腕を緩めた。
「もう、帰るの?」
そう聞いたが、それに対する返事はなかった。
「マイカ………あの、コバヤシに返事をしたら、連絡しろ。
それまで、俺はここに来ない」
返事も何も付き合うつもりもない、そう言いたかったが、腕を離したショウタの顔を見て、何も言えなかった。
真剣な、それでいて困ったような表情のショウタは持ってきていた荷物をサッととった。
「ちょっと待ってよ、ねぇ………」
スタスタと玄関に向かうショウタは、聞く耳を持たないようだった。
「じゃあ、また、な」
アッサリと玄関を出ていった。