金曜日、早番だった私はいつもよりも早い時間にあがり、駐車場に行くと先に出ていたコバヤシさんが待っていた。

車で食事に行く。
どこに行くのか分からないまま走る車で連れていかれるようだった。


「ここでいい?」

私の家を通り過ぎて、隣の市に入ったところの賑やかな居酒屋だった。

「飲むんですか?」

「車だから今日は飲まないよ、大丈夫
こういうところのほうが時間気にせずゆっくりできるから」

「あーなるほどね」


早く帰りたい気持ちを隠して言った。

店に入ると個室風に仕切られている席に向かい合って座った。

「じゃ、お茶だけど、乾杯」

「ありがとうございました」


好きなものをちょっとずつ食べられるのは、食欲が落ちている私にはありがたかった。