「もしもし?」

『マイカ?大丈夫?』

「うん」

『まさか、マイカが襲われるなんて、驚いたわ。

ちょっと話がややこしいけど、確認させてほしいの。

怪我はない?』

「血は出てないし、今は病院に行くことはないわ」

『良かった』

ちょっと柔らかくなった口調。

『ただね、被害に合ったのが私の娘で、加害者が会社の子で、理由がセオだから、マイカがセオと付き合ってることが会社に分かってしまうのよ、構わない?』

「仕方ないわよね」

『セオも了解か聞いて?』

携帯を離してショウタに聞く。

「ショウタが課長の娘と付き合ってることが分かってしまうけど大丈夫かって」

「大丈夫」

返事を聞いてから電話を持ち直した。


「もしもし?お母さん?……」

『聞こえたわ。
それから、被害届出すの?』

「どうすれば良いのかわからない」

『出すなら裁判、出さないなら示談ね。
警察が助けてくれたから、どちらかになるわ。
ただのケンカではおさまらない。

マイカがやられたんだから、私も怒ってるわ。
被害届出さないでとは言わない。

示談なら絶対にきっちりと話をつける』

「示談が決裂したら被害届だすとか?」

『うーん……それなら逆の方がいいかも』