ショウタの話に、言葉が出なかった。


「それで、今日、ここで待ってた。

マイカがいなくなって、訳が分からなかった。
でも、課長の話を聞かなかったら、今ここにはいない」

「お母さん……喋ってたのね」

苦笑いする。

「妊娠してからのことを教えてくれ」

「単純よ?
妊娠が確定して、仕事を辞めて、母の妹の叔母の世話になりにここへ来たのよ」

「ここで産んだのか?」

「そう、近くの病院でね。
妊娠の経過も順調だったから、元気な赤ちゃんで産まれてきたわ」

「何も問題なくて良かった」


ショウタがちょっと安心したように呟いて目線を下げた。

「マイカと連絡が取れなくなって、何も知らないって気付いた。

実家も家族のことも考え方も。

大切にしたかったのに、大切にしてなかったんだな」



「それは……」



言おうとした言葉は、ショウタの強い視線に遮られた。