「綾乃……」
呟くようにカズは言うと、綾乃を抱きしめる腕に力を込めた。

「ねえ、私は私でいいのかな?お姉ちゃんみたいに何もなくても」
「何もなくなんてないよ。お前の音楽は本物だ。俺が天才と言われるなら、お前はそれ以上の天才だよ」
その言葉に綾乃は「ありがとう」そう呟くと、カズを見上げて微笑んだ。

「綾乃、たくさん傷つけて本当にごめん。好きだよ」
そう言った言葉と同時に、綾乃の唇は温かく塞がれた。

啄むように落とされるキスの甘さに、綾乃もカズの首に腕を回した。