元々、自分たちだけで誰かを攻撃するような度胸なんて持っていないのだ。


「それから正樹も。イジメの原因ってあんたの勘違いだったんでしょ? ただの勘違いでここまで人を痛めつけられるって、どういう神経してんの?」


あたしは正樹を睨みつけてそう言った。


久志と早苗がハラハラしているのが伝わって来る。


だけど2人がいてくれるからこそ、あたしは今ここに立っていることができるんだ。


「うるせぇな!!」


正樹が怒鳴り、拳が握られる。


殴られるより早く、あたしたち3人は動いていた。


怒鳴るより、殴るより、泣くより、もっと楽しい事をしよう。


みんなで笑えるのであれば、それが一番いい。


久志が正樹の後ろに回り込み、その両手を塞いだ。


「なにすんだ、お前!」


不意をつかれて戸惑っている正樹の体を、あたしと早苗でくすぐりはじめた。