「顔も殴るようになったんだ」


あたしは支えて起こされながらそう言った。


「あんたたち、人目に触れる場所だけは絶対に攻撃してこなかったから、どこまでも卑怯で弱い奴らだと思ってた」


「なんだと!」


正樹の後ろにいた衛が声を荒げる。


「あ、衛と俊文もいたんだ?」


あたしは、今初めて気が付いた。


という様子を装ってそう言った。


「いつも正樹の後ろにくっついて歩いて、美味しいところだけ吸い取って行く。存在感がなくて見えてなくて、ごめんね」


煽るようにそう言うと、衛と俊文は顔を真っ赤にした。


だけど攻撃はしてこない。