「そっか…両親も日本に帰って来てるの?」


「うん。パパだけね…ママもそのうち日本に来るんじゃない?」


「そのうち…って、アバウトだな」


「私の両親、何だか仲が悪いみたいで…」


「………」


一瞬、気まずい雰囲気にになりかけだが、美紗がうまく話を変えた。


「レイさ、やっぱり名前はパパが付けたの?」


「そうよ!レイ…ゼロと書いて『零』あまり好きになれないけどさ」


「何で?かっこいいよ!響きが零に合ってる」


「ゼロっていうのがさ…」


「いいじゃん、何でもゼロから始まるんだ。一にするにも、二にするにも、お前次第だろ」


「サンキュー、空。いいこと言うね!」


零はそう言うと、素直に笑った。


「そういえば、美紗達、バンド組んでどれくらいなの?」


「私達?12月だから…4ヶ月経たないくらいかな」


「ふーん、ベースがいない状態で始めたんだ。珍しいね」


「あぁ、俺らのバンドには、ちょっと訳があるんだよ…」


俺達は『seraph』の成り行きを、簡単に説明した。



「ふーん、なるほどね…今度見てみたいな!練習してるとこ。邪魔になるから、ダメかな?」


「いいよ!零は特別!空君、いいよね?」


「まぁ…いいだろ。亮も話すれば、いいって言うと思う。全く知らない相手じゃないしな」


「じゃあ決定ね!今週の日曜、集まる予定なんだけど、零は予定ない?」


「うん、大丈夫!」


「じゃあ、日曜ね」



こうして、何も問題なく、スムーズに事は運んだ。


俺は、放課後に、亮と会う約束をしていたため、その時に話をした。


「…っていう訳だから」


「いかーん!そいつは、いかーん!」


以外な返事が返って来た。


「何でだよ?あいつ、結構いい奴だぜ。」


「何でっていうか…何でもだよ…」


亮の様子がおかしい…


「…お前、照れてんだろ?あいつ、綺麗な顔してるしな」


「そ、そんなんじゃ…まぁ多少は…」


「ハハッ、素直だな。まぁそういう事だから。日曜な!」


「わかったよ。しょうがねぇな!」