零の存在は、その日のうちに、学校中に知れ渡った。


それもそのはず…


まず見た目が、もの凄く目立つ!


…それに加えて、彼女の明朗活発な性格。


三年の廊下を平気で通る…


声がでかい…


全くもって、転校生らしからぬ行動ばかり。


休み時間も、クラスの連中に周りを囲まれ、色々な質問を受け答えしていた。


すると、美紗が姿を現した。


「あっ、美紗〜!」


零は、美紗に気付いた途端、子猫の様に可愛らしい表情になった。


「レイ〜!C組に外人さんが転校してきたって聞いて、もしかしたら…って思ってたんだ!」


「そう、私のこと!外人さんっていうか、ハーフなんだけどね」


「そういえばレイさ、何で日本語喋れないフリしたのよぉ!もっと早く言ってくれればよかったのに…」


「sorry!意地悪しちゃった…っていうより、試した…って言った方が正しいかな?」


「試した?って何を?」


「ヒ・ミ・ツ、Secretよん!」


「もうっ!また意地悪ぅ?教えてよ〜!」


「そのうち解るよ!だから、もうちょっと待ってて」


俺は、二人の間に割って入った。


「何か、意味深な会話してるな…」


「空〜!そんな事より私達、運命的な出会いしたみたいじゃな〜い?」


零は、俺を見つけるなり、当たり前の様にハグして来た。


「うわっ!ちょっ、零…」


「レイ?!何してんのよ!」


「何って…挨拶でしょ?」


挨拶…って、俺には刺激が強すぎる…


…む、胸が…


「空君も、何喜んでるのよぉ!」


ついついにやけた俺に、美紗が激を飛ばす。


誤解だ、美紗!これはあくまで不可抗力ってやつで…


零は、それを軽く流し、俺に聞いた。


「空さ、いつ頃からギター弾いてる?」


「…俺?中二の時だから、14歳からかな。何で?」


「うぅん…上手いなぁ、と思って。もちろん、美紗の歌も最高だけど」


「いつも見に来てくれてたもんな!そういえば、最近は顔出さないな」


「編入の手続きとか、忙しくて…行けなかったんだよね」