12月24日
クリスマス・イヴ


俺達は、世話になっている、楽器店のおやじに頼み込み、スタジオを借りた。


みんなで、食料や飲み物を調達し、夕方から集まった。


勿論…酒もある…


「それでは…新生バンド『seraph』のお祝いも兼ねまして、メリークリスマ〜ス!!」


「乾杯〜ぃ!」


「未成年の飲酒は禁止されています!…一応言っておきたくて…」


「ぷっ、何じゃそりゃ?」

隆志の音頭でクリスマスパーティーが始まった。


メンバーは俺、隆志、優子、ドラムの亮と、その彼女…


そして、新しくボーカルとなった、美紗。これから頑張っていこうな…


「でも、まだベースが見つかってないんだよ…亮、お前の周り、本当にいないのか?」


「それが、マジでいないんだよ…上手い奴は、大体が他のバンドにいるし、ねぇ…」


「そうだよなぁ…そんな都合よくいかないよな」


「それにさ、どうせ新しい奴を入れるなら、同い年がいいだろ?また変な理由付けて、抜けるって言われたら最悪だからな」


「あの二人は、しょうがないよ…でもそうだな…ってか余計見つかんねぇよ!」


「まぁまぁ…私達はまだ高一よ!焦らずとも、必ず見つかると思うよ」


「そうかなぁ…美紗ちゃんに言われると、納得してしまうな…説得力あるよね!」


「亮君さ、美紗ちゃんって止めない?なんか、おじさんに呼ばれてるみたいだから…」


「おじさん?!だー!止めますとも!今日から美紗だぁ」


「つーか、旧バンドの時も、皆ちゃんと彼女いたんだったよな!空だけじゃねーか?いないの」


「うっ!隆志、それを言うな」


「ギターって言ったら…ボーカルの次に目立たない?空君モテてもおかしくないのにね」


と優子…


「こいつは奥手だから、惚れた女に想いを伝えるのが、苦手なんだよ」


「へぇ…じゃあ好きな人はいるんだ?」


「い、いないよ!…亮!変なこと言うなよ!」


やべぇ…また美紗の方が見れない病が…


「…空君は多分、女好きだから、きっと好きな子を絞れないんでしょ?」


とんでもない言葉が、美紗の口から、飛び出した!