俺達四人は、少しの間、余韻に浸っていた。


「私、本当に来てよかった…優子ありがとね!隆志君も」


俺からも感謝したい…


きつい思いはしたが、あの登山があったからこその、感動だっただろう。


山登りの達成感を。初めて実感できた。


もう一つの理由として、美紗との時間を、作って貰ったこと…


これは、俺が勝手に、そう思っているだけだが…




「しかし、今からまた下りるのがきついなぁ…」


「それなんだが、下りる時は、さすがにロープウェイ使うぞ」


「はぁっ?!あったのか?!そんな便利なもんが!」


「必死に登ったお陰で、絶好のタイミングだったんだろ」


確かにその通り…

やはり隆志は、何かとするどい点を付く。


それにしても、助かった…


今から、また下山していると、折角の感情も薄れてしまう。


俺達は、ロープウェイを使って山を下り、帰路につくため、駅へ向かった。



「すっかり日が暮れたな…」


と、隆志。


「そういえば、家の人、大丈夫?門限あったりしない?」


「私は、大丈夫。お母さん仕事で、この時間はまだ、帰ってないと思うし…お姉ちゃんは、私の帰りは気にしてないし」


「そっか…ならよかった」


相手は、女の子だ。少しは、家の事情も気にしておかないと…


「姉ちゃんがいるんだ?二人姉妹?」


「うん、そうだよ。二つ上…同じY高だよ」


「え?そうなの?美紗の姉ちゃんがいるなんて、知らなかった」


「お前、松永先輩知らないのか?」


「隆志は知ってたのか?」


「当たり前だろ!俺達の入学式の時に、先輩代表で、喋ってた人だよ。うちの高校のマドンナで、生徒会長だろ!」


「あ、あの先輩、美紗の姉ちゃんなのか?…どうりで美人だと思ったよ…」


「………」


美紗が、黙り込んだ…俺、何か変なこと言った?


「お前、中々言うじゃないか!本人を目の前にして…」


「いや、違うっ!その…美人姉妹ってことだよ!」


俺は何を言ってるんだ!ますます墓穴を掘ってるだろ!


美紗は少し、照れた様な表情をした。