俺達は、そんな会話を、ごく普通にしながら、改札口へ着いた。


そこにはすでに、隆志が迎えに来ていて、俺を待っていた。


あらかじめ、到着時間は伝えておいた。隆志は、ちょうどいいタイミングで迎えに来れた様子だ。




「おーい、空！こっちだ！…って、何で松永と一緒なんだよ？！」


俺はいきさつを説明した。


「なるほどねぇ…面白い偶然だ。まぁ、調度よかったよ。もう村仲も来てるし」


「はっ？！」


俺は一瞬、その言葉の意味を、理解できなかったが、隆志のうっすら浮かべる笑みを見て、その意味を悟りかけた…


すると、聞き慣れた声が話し掛けて来た。


「柳瀬くん、おはよう！」


村仲優子だ…やっぱり…この状況は…


俺は隆志をひっぱり、二人に声の聞こえない場所へ、連れ出した。

そして、できるだけ小声で、隆志に問い掛けた。


「お前まさか、今日の目的はこれか？何でまたあいつらなんだ！」


「駄目か？俺は前々からリサーチしてたんだよ」


…何を？！


「村仲と松永のことをだよ！あいつら中学から同級で、親友なんだ。どうせなら可愛いやつと遊びたいだろ？そのために、あらかじめ村仲に近付いて、この機会を作ったんだ」


よかった…俺が松永を好きなのはバレてない…


こうなった際、隆志には、打ち明けた方がいいのだろうか？


しかし俺は、もう少しだけ、黙っていることにした。


「だからって、秘密にする事はないだろ！」

「いいじゃねぇか。あの二人じゃあ、不満か？」


「いや……」


「うちの高校じゃあ、トップレベルで可愛い二人だぞ！感謝されても、いいくらいだ」


「まぁ…そうだけど…」


「んじゃあ、いつまでもブツブツ言わない！行くぞ、青春だぁ！」


隆志…恐ろしいやつだ…


その野望に、感謝はするが…