ハンカチだ…



……………



まじで?!普通落とすか?俺はハンカチなんて落としたことねぇぞ!


…いや、これはきっと、恋愛の神様が俺にくれたチャンスだ!


そう思うしかない俺は、勇気を振り絞り、そのハンカチに手を伸ばした。



そして、匂いを…


いや違ーーうぅ!!


渡さないと、行ってしまう!!



「あ、あのほぉ〜」


声裏返っとるっ!!


「えっ?」


松永みすずは、振り返った。


……………


うっ…やっべぇ!めちゃくちゃ可愛い!


頭がパニクる…真っ白だ…


「あっ、そのハンカチ私の…拾ってくれたんですか?」


初めてちゃんと聞く、みすずの声…


何て言い表せばいいのか…


それは、まるで…


天使……?!


俺はポカンと口を開け、ぼーっとなっていた。


「あの、私のハンカチ…」


ふと我に還った。


「え?あ、はい、これね。はい拾いました。見てたら落ちてきて、いや落としたから、はい」


俺は何を言ってる…


クスクス…みすずは、笑った。


「いやぁ、俺全く喋れてないですね。すいません」


「クスクス…ごめんなさい。可笑しくて…」


空気が和み、俺は心からホッとした。


「あの、確かY高の方ですよね?」


えっ?俺のこと知ってんのか?!


「そ、そうですけど…」


「私もです。1年A組の松永美紗」


「あ…、俺は柳瀬空って言います。C組の…」


「知ってるよ。同じクラスの向井君が、柳瀬君のこと話してたから…ギターが上手いんだ!って…うちのクラスにも来たことあるでしょ?」


「あ、うん。あぁ、向井がね…」


でかした向井!俺は今度から、お前の事を神と呼ぼう!!


しかし、何か話さないと…



「…今日はいい天気だね」


何じゃそりゃ…もっと気の利くこと言えないのか…俺は…


「うん、空も綺麗だし…天気がいいと、気持ちいいしね!」


俺はその発言にドキッとした…