そろそろ、帰ろうかな、と思い、最後に言わなくちゃ、と思い立つ。
「あの……」
みんなが私を見る。
「今日は来てくれて良かった、ありがとう。
もう、後悔はしないでね?
姉の事故の加害者はもう、裁判もおわってるわ。
姉を、唯歌を幸せにしてくれてありがとう。
姉のことは、思い出にしてほしいの。
でも、私のわがままだけど、姉を忘れないで、心のどこかで覚えていてほしい。
サイタユイカが生きてたことを、覚えていてほしい。
そして、唯歌の分まで幸せになってね、功介さん。
今日はありがと」
頭を下げると、ふわりと風が吹いて、髪の毛を乱す。
顔にかかった髪を直しながら
「そろそろ帰るね」
と言うと、そこまで一緒に行くよ、と優さんが立ち上がる。
「おれは、もう一回唯歌の墓に行かせてほしい」
「ありがとう、喜ぶわ」
功さんに笑顔で答えた。
「また来てもいい?」
「いつでも、どうぞ。
気を付けて帰ってね。
じゃあ、またね」
手を振って、功さんたちと別れて、優さんと駐車場に歩き出した。