「あ…そうだ、あのとき……」
優さんが何か思い出して言った。
「箏の発表会の時、お前のお母さん、誰かに似てるって思ったのは、もしかして、唯歌か?」
「そうかもね、唯歌は母にソックリだから。
そっか、やっぱり分かるよね?」
思い出してちょっと笑った。
「はあ、もう私のことは、全部ばれたわよ。
功さんは、長谷野って、長谷野株式会社?」
「ああ。そうだよ?」
電化製品や家具の大手メーカーだ。
「龍くんは?」
「俺は、元平龍太(モトヒラリュウタ)。
わかる?」
「アパレル最大手の『ハノ』?」
「アハハ……アパレル最大手って。
そう。あの、ブランドだよ」
お手頃ブランドからオートクチュールまでのファッションブランドを手掛ける会社だ。
「御曹司?」
「それを言うならみんな御曹司だよ?
歌織ちゃんって、もしかして、頼斗と親戚?」
「うん、そうだよ?
って、絶対ナイショだよ?」
やっぱりね、と納得するみんな。