優さんたちのところに戻ると、全員が私を見て、功さんをみた。
そんな中、話を変えるように優さんが聞いた。
「なんで昌が唯歌の墓を知ってたんだ?」
私を伺うように見た昌さんに笑顔で頷く。
「俺、親父の後を継ぐって言ったろ?」
「ああ」
優さんたちが応える。
「俺の家、美容院ってだけでなくて、髪結いなんだ。
日本髪を結うし、鬘も結う。
唯歌も歌織も日本舞踊やってて、その関係。
歌織のおばあさんの熊野さんって日本舞踊の家元だからね。
うちで鬘や髪のセットをしてるから、サイタさんの唯歌さんが亡くなったって、聞いたとき、もしかしてって思ったんだ。
個人的な付き合いのある人しか参列出来なかったから、父さんと一緒にお通夜にもいった。
おばさんと熊野のおばあさんには挨拶したけど、歌織のことは知らなかったよ。
去年の10月の発表会で、雑用係として日舞の大会の会場に行ったら、歌織がいてビックリだったよ。
年始の挨拶も来てくれたし、こないだの箏の発表会のヘアメイクもうちでしてた。
世間は狭いよね?」
「そう、昌さんね、手伝いや挨拶の時は、黒髪になってるから、ビックリするよ?」
みんな目を見開いている。
「まじで?」
「そうそう、見る?歌織ちゃんの日本舞踊の写真」
そういって、昌さんが笑いながらスマホを見せる。
「白塗りって、すごいね。
衣装も、これ、凄い。
素っぴんに衣装って、これは証拠写真じゃん?」
「うわ、どこまで見せるのよ?
もう、おしまいにしてよ。」
昌さんに言っても、みんな写真をまじまじとみてる。
「やるなあ」
優さんも笑っていた。