お墓のあるお寺に向かい、駐車場に停めてくれた。
車を降りると、兼田さんが言った。
「一緒にお墓の掃除をさせてください」
思わず笑顔になる。
「ありがとう」
水道で汲んだ水を運んでくれる。
お線香が入った鞄と花束をもって歩く。
二人で掃除を始め、本家の墓も掃除する。それぞれの墓に花を供える。
「ごゆっくりしてきてください。
僕は車で待ってますから」
兼田さんが行こうとする。
「じゃ、先に参ってやってください」
「先にいいんですか?」
「ええ、どうぞ」
「ありがとうございます」
姉の墓に手を合わせた兼田さんが、しばらく膝をついて祈っている。
立ち上がった兼田さんの目が赤い。
姉を思い出してくれたのだろう。
私の前を一礼して掃除用具とゴミを持って去っていく。
先に本家の墓に手を合わせた。
―――ありがとう
先祖に感謝する
そして、姉が眠る墓へ。