係員がゴンドラのドアをあけて、中に入ると閉められた。

ゆっくりと止まることなく動く観覧車の二人きりの空間。

「お前、家族で遊園地来たことある?」

「小さいときはあるよ?
優さんは?」

「遊園地はないな。水族館ならあるけど」

「友達と行ってたの?」

「遊園地は学校の遠足で初めて行って、そのあとは友達と」

「……女の子と?」

「プッ……やきもちか?」

「違う!ちょっと聞いただけ」

「女と来たのは初めてだ。
でも、女ってもっとキャーキャー言って絶叫系でフラフラするのかと思ってた」

クスクス笑いながら言う。

「絶叫系好きなんで、女らしくなくてすみませんね、優人ちゃん」

「いや、別にいいけど、ちゃんはやめろ」

「はいはい」