家に帰ると、5時過ぎだった。
両親も帰っているらしいが、部屋にいるのだろう。

ピアノと箏を練習していると、夕食の時間になった。

両親と一緒に食べたあと、リビングで今日作ったチョコを出した。

「友達が作るついでに作ったの」

「歌織が?」

「私が作ったのはこっち。簡単なのですぐできちゃった」

まじまじと見たあと、

「唯歌、歌織が作ったよ」

と、仏壇に供えた父。

そんな、たいしたものじゃ

と言おうとしたら、

「もう2度とないかもしれんから、お線香はまたあとで」

と言っていた。

「あー、もう、チョコが香るうちに食べてよ!」

「じゃ、いただきましょう」