「歌織?優さんの進学先って気になる?」
「うーん……」
気になるか、ならないか。
気にならない、と言えば嘘になる。
進学先を知ったらどう思うだろう。
気持ちの整理がつかず、言葉を考える。
でも、春菜から聞くのはやめよう。
「気にしない」
強がりと聞こえたかもしれない。
「そうよね?
みんなの進路が決まったら龍くんは分かるはずだけど、あえて歌織には言わないでおくわね。
ってまだ決まってないけど」
気にしてくれたのだろう。
どこかで噂を聞くかもしれないけど、やっぱり私からは聞かない。
秋の風が冷たく感じた今日、意地っ張りの決心をした。