「歌織ちゃん、この前言ってたよね?」
「ん?」
「『好きでも別れなければならないこともある』って。
それって、歌織ちゃん、のことだよな?」
「どうなんだろうね~」
功さんの顔から視線を外して答えた。
「なんで別れたの?」
「……何て聞いてるの?」
「優は、俺が悪い、って」
「悪者になってくれてるんだ。
……悪いのは優さんじゃない。
私が、信じるより不安の方が大きくなったから、逃げたのかもね」
理由より、私が答えたことの方が驚いたのかもしれない。
「まだ、優のこと好きなのか?」
「………」
答えられなかった。
「ま、色々あるよな?
歌織ちゃんのペースでいたらいいよ。
今日はありがとう。
また、な?」
「こちらこそ。気を付けてね」
私は手を振って、家に戻った。