「バイクじゃないの?」

「電車で来た。
っていうか、制服着てるけど、学校サボった」

「えー?」

「学校来ないのに、コンビニ来たら功がいたから驚いた」

優さんも笑う。

「今日は責めるなよ?

じゃあな」

「優さん、またね」


優さんに別れを告げて、自転車を押してくれるという功さんと並んで歩き出す。


坂を登って、突き当たりの角を曲がると、サイタ家の大きな家につく。
本家の門を過ぎ、敷地内の別邸の門を開け玄関に続く、アプローチを進む。
ドアを開けると、あらかじめ来客を伝えていたお手伝いの川野さんが、にこやかに

「いらっしゃいませ」

と、挨拶する。

客間でお茶を出してもらい、二人になった。

「やっぱり、広いな。」

「功さんの家ほどでもないでしょ?
ここは分家だから」

「いや、そんなことはないよ」

「学校休んだって?」

ちょっと笑いながら言うと

「やる気でなくて」

「そっか。
両親も兄もいないからね、今日は。

お仏壇に行く?」