「おはよう」 「おはようございます、どうぞ」 墓の前を譲る。 持ってきていた花を供えて、線香に火をつけてから、手を合わせた功さん。 二人が会話しているようで、何となく見ていられなくて、背を向けた。 功さんが立ち上がる気配がして、振り向くと微笑んだ功さんがいた。 「この前の、広場に行こうか」 「うん」 ポケットの中の二つの指輪を触りながら言った。 今度は俺が、とジュースを買ってくれた。