お稽古を終えて、夕御飯を食べていると、父が帰ってきた。
「ただいま」
「お父様、お帰りなさい。
お母様は?」
「今日はまだ仕事していたよ」
「忙しいのね?」
「そうだな。
そうだ、話がある。
歌織、高校を卒業したら、どうするのだ?」
「希望は…音楽系の大学です」
「そうだろうな。
ただ、社会に出るときはサイタグループの方に、何らかの形で勤めてもらう。
音楽やスポーツの分野でもサイタグループは活発だから、その方面で籍をおいて活動してもらいたい。
どちらかと言うと文化的な活動やその骨組みを築くことになるだろう。
でも、活動の場所として、練習できる時間をとれるし、問題はないはずだ。
私達のように、流通や決算、営業で走り回ることはない」
―――やっぱり、か