土曜日
用事はなかったが、優さんと約束はしてなかった。
一人で繁華街まで買い物に行った。
夏にはまた日舞の大会に出ようかと考えていた。
新しい足袋を買いに行く。
百貨店に行き、見て回ってるうちに疲れてきて、小さなカフェに入った。
後ろの席からの会話が聞こえる。
「ユウト君、久しぶりに見たわ」
「あれが彼女?」
「いや、違うはず。彼女は髪の長い子って話だから」
「え?じゃあ、さっきのは?」
「またファンみたいに付きまとってた子じゃないの?
ユウト君、ダメ男だったんだねー」
「結局、本命はいないってことか。
青蘭なのにね?
あ、青蘭だから、かな?」
キャハハと笑う声が、遠くに聞こえた。
あまりのショックに内蔵が凍るようだった。
レジで会計を済ませ、帰ろうと百貨店の出口に向かう。
優さんがチラッと見えた。
息を飲んだ。