「おまたせ、歌織いこ?」 声をかけられて、我に返る。 「あ、…もういいの?」 「うん。3年でも、まだ、受験で焦るって雰囲気じゃないね~」 自分の教室に戻ってもさっきの会話が頭から離れない。 『ハラダチエリ』 強気な女。 優さん、どういうこと? 優さんじゃないよね、って考えるほど、やっぱり優さんだと、なぜか思ってしまう。 聞く?聞かない? どうしよう。 頭のなかは一杯で、授業は何も入ってこなかった。