その夜、両親と話していた。
「お墓参りどうだった?」
何をどう言うか、ちょっと迷った。
その沈黙に、母が気付いた。
「誰かに会ったの?」
「うん。それがね……」
唯歌のことだから、両親にはちゃんと言おう。
「唯歌が持ってた指輪の人にあったの。
あの日、会ってたらしくて、唯歌を送っていけば良かったって苦しんでた。
だけど、唯歌の最後のその人に宛てた言葉を聞いてたから、伝えられたのよ。やっと。
だから、お母様、相手の人を責めないで」
「………責めないよ。
唯歌の大切な人だったんだろ?
ありがとう、しか、言えないよ」
静かに父が言った。
「歌織
ありがとう」
「あの指輪、ペアリングだったの。
唯歌に2つとも供えたい、指輪を引き取りたいって思ってる。
その人も、もう思い出にしてもらいたくて」
「………」
「指輪は、唯歌のそばに、あった方がいいだろう」
父が優しく言った。