凌凛館高校(リョウリンカンコウコウ) 芸術科



お正月の余韻を残したまま、1年生最後の三学期が始まった。



午後の授業が始まった日、いつもの放課後と同じように春菜と春菜の彼氏の龍くんの待ち合わせ場所のコンビニに私の自転車で行くと、優さん、龍くん、昌さん、功さんたちも来ていた。

クリスマスデート以来、久しぶりに優さんに会って、嬉しくなる。

「明けましておめでとう」

と言われ

「今年もよろしく」

と返した。
今年は、おめでとう、は言わない。

姉の喪中だから。

そう、決めていた。


昌さんと目が合う。

日本舞踊の関係でお世話になっている前橋家に年始の挨拶に行った時は、黒髪になっていた昌さんだが、今日は金髪になっている。

思わず、くすっと笑うと目を剥いている。

やっぱり笑ってしまうので、

「今日はもう、帰るね」

と言うと、そうか、と優さんが送ろうとするが、寒いから、とその場で手を振った。

「またな」

と店内で別れた。

自転車を用意していると

「おい~、思い出し笑いは止めてくれよ」

店から一人で出てきた昌さんが笑いながら言う。

アハハ、と笑って、さっと自転車に乗った。


本当は、優さんともっと喋りたかったが、どうしても昌さんを見て笑ってしまう。


まだ優さんには言ってない、聞かれると困るから、帰るしかなかった。