「何?」

またがったまま振り向く。

咲井さんは毒舌の咲井さんらしくない、悲しそうな顔をしていた。


「……やっぱりなんでもない。」
咄嗟に笑顔を取り繕う。

「え?何?めっちゃ気になる。」

「いや、堀井君って理系やろ?数学の課題で分からんとこあったけん教えてもらおうかなって思ったけど自力でやってみる。」

「……そう。分かった。」