翌朝、目が覚め時計を見ると7時過ぎだった。
――今日も会える
パッと起き出して着替える。
食堂では、川野さんがサンドイッチを作っていた。
「おはようございます」
「おはようございます。
今日は予定ありますか?」
「昼から出掛けるの。
昼も夜も御飯は要らないからみんなゆっくりしててね」
「では、また帰る前に連絡くださいね」
と朝食を食べながら話していた。
食後、姉の祭壇の前でお線香に火をつけ、手を合わせ、そのまま祭壇の前の机でお茶を飲んでいた。
お父様は明日帰ってくるのよ。
私は、今日も出掛けるの。
あの指輪…お姉ちゃんは、好きな人にも家族にも本当のこと、言えなかった?
確かに、私も家族には言えないなぁ。
お線香が消えたことを確認して、ふと笑いながら、立ち上がり、音楽室に向かった。
筝とピアノを弾いて、時計を見ると11時半。
出掛ける用意をしていて気付く。
……バイク
何を着ていこう?
結局、細身のジーンズとチュニックにカーデを着て、パーカーを合わせる。
うん、春菜が毎日パーカーに着替えてたのが分かる、と笑いながら思い出した。
爪先からくるぶしの少し上まで編み上げたサンダルを履き、川野さんの見送りで出掛ける。
コンビニまで急ぐつもりはないが下り坂が早歩きをさせた。