横になっても、すぐに眠れるはずもなく、優さんのことを考えてしまう。
優さんと付き合えることになったことで、軽い興奮状態かもしれない。
でも、私には言えないことがあるから、自分が言えないことって相手に聞きにくい。
そういえば、今朝まで学年も知らなかったし。
と笑ってしまう。
名字も知らない。
学校は青蘭だから、きっと良い家柄なんだろう。
家も家族のことも誕生日も血液型も趣味も将来の夢も、何も知らない。
私の名前や芸術科のことは、高野君たちに聞いているかもしれない。
習い事と言ってるけど、どんなものかは知らないだろう。
まだ言うつもりもなかった。