「お前…いや、歌織……」


名前を呼ばれて、ドキッとする。

前をみたままの優さんのキレイな横顔を見つめる。

そのまま沈黙が過ぎる。



「まだ何も知らないことが多いけど、俺のことを知ってほしい。
俺を見てほしい、信じてほしい。
俺は絶対裏切らない。
嘘もつかない。


だから、付き合ってほしい」


驚いて、優さんをみる。

好きって言葉じゃなくても伝わる彼の気持ち。


相手に自分を知ってもらうことが、わかってもらうことが、信じてもらうことが、それが大切なこと。


「私も優さんのこと、知りたい。

優さんと一緒にいたい」


――伝わるかな?




「付き合ってくれるのか?」

「うん」



やっと私をみた優さん。

ホッとしたように微笑んだ。

目が合い、ちょっと照れて、フフフ、と笑うとベンチに隣り合って座ったまま肩に手を回して上半身を抱き締められた。