最後に髪結師の前橋さん。


昌さんがいるのかな、と思いながら門をくぐると、一家揃って待ってくれていた。

前橋さん夫婦と髪を黒くして、微笑む昌さんがいて、思わず見てしまう。
 
年始の挨拶を祖母がする横で頭を下げていると、前橋さんが

「昨年は色々大変な1年でしたな。

言葉が見つかりませんが。


改めて今年もよろしくお願いいたします。

こちらが髪結いを目指すことになった愚息の昌樹です。
まだこれからですが、なにかと細かいことから修業に手伝わせますのでよろしくお願いいたします。」

「よろしくお願いいたします」

昌さんが頭を下げている。


「こちらこそ。
良かったですね、後を継ぐなんて良かったわ。
末長くよろしくお願いいたします」

と、祖母。

「今後ともよろしくお願いいたします」

私も一言添える。

目が合うと笑ってしまいそうで、俯くが、お茶を飲みながら話している祖母が腰をあげないので、相手を見るしかない。


早く帰りたい。




やっと、賑やかな前橋家の人の話も終えて、帰りの挨拶を済ませ家路を急ぐ。







部屋に戻って、思い出し笑いをした。



もしかしたら昌さんも思い出し笑いをしているかもしれない、と笑いを止めた。



今年は天気の良いお正月だった。


もうすぐ、3学期が始まる。


新しい年も私らしく







第二部 完  第三部へ続く