「お帰り。いよいよ明日ね」

母のそんな労いの言葉にも

「お腹すいた、お風呂入りたい」

疲れてわがまましか口から出てこない。


家族は笑ってくれるけど。

ほら、食べておいで、

と言ってくれるけど、

ごめん、とも言えず食堂に戻った。


――余裕ないなあ、私。


自分に呆れながらも、明日のことも考えてしまい、自分の世界に浸って抜け出せなかった。


食事のあとお風呂で思い当たった。


――優さんに会いたいな


ふと思い付いた考えに、さっさと風呂を上がり、スマホでメッセージを打つ。

が、彼女でもない私は、特に共通の話題もなく、何も思い付かない。



ピロンとメッセージが来た音がした。



見ると千奈美からで、明日、観に行くとのこと。


バタバタして会えないかも。
でも、来てくれると嬉しい。

と返信した。

踊りの時の芸名は?

とすぐに返信がきた。


日本舞踊では名取になると芸名をもらい、発表会などはその芸名で出る。


芸名を教えて、また明日、とメッセージを打った。

発表会が終わったらゆっくり会いたいな。


あ、優さんにメッセージしてみよう。

と思ってたことを思い出し、画面を開く。


やっぱり話題は見つからない。


おやすみなさい


と打ち込んで、ベッド寝転んだ。

ピロンと音がしてスマホを見ると優さんからだった。



また、週明けにな
おやすみ


とそれだけ。

それだけ、に心が暖かくなった。


――月曜日には会える


そのまま寝てしまい、朝を迎えた。