バイクで来てくれた優さんの後ろに乗り、優さんの家に来た。


「さっき、親が持ってきた」


老舗の洋菓子店の焼き菓子をソファーに座って、いただく。
バターの風味のよいフィナンシェやパイ菓子はふんわりと甘くおいしい。


「優さんのお母さま?
なんか大事な用事じゃなかったの?」

「いや、成績表や学校の書類取りに来て、なんか色々土産置いてった」

と、指差した先に、外国のお土産らしい物や参考書や書類の入ってそうな封筒なんかが置いてある。

「勉強?」

「ああ、なんか色々しとけばいいらしい」

「ふぅん?」

ちょっと陰りのある表情だったので、何のための勉強なのか、とか、聞くのはやめた。

「成績は?」

「いつも通り」

にやりとして答える優さん。
青蘭トップ争いなんだから、良いだろう。

「成績は?」

切り返された。

「いつも通り」

真似て答えるが

「いつも通りって?」

つっこまれる。

「えっと……科目によって差がある?ってことかなぁ」

「ハハハ…いつも差があるって。
苦手科目がある?」

爆笑しながら聞いてくる優さん。

「化学と家庭科。あんまり聞かないでよ」

「教えてやろうか?」

「非常に困ったら…オネガイシマス
この話、やめよ?」

「成績の話したのお前じゃん?」

「気のせいよ?」

しれっと言うと、はいはい、と抱きしめられた。

キスをされて、何も考えられなくなる。

溺れる……この時間に、キスに、優さんに。