父の夢を打ち破ることになるのか。
それは、もしかして、両親を傷つけることになるのか。

それなら、あきらめる?

いや、できない。

もう、私の気持ちは決まっている。



「歌織がそんなことを考えているとは、思わなかったわ」

母が驚きを隠せない表情で言った。

「本当だな。

ちょっと、考えさせてほしい。
今日はこの話はもう止めよう」

頷くしかなかった。

不安が押し寄せる中、眠りについた。




翌日

学校の支度をして、朝食を食べていると、両親が食堂に入ってきた。


――おはよう
――おはようございます

ふと目を会わせて微笑みながら呟くように挨拶すると、父が

「学校に進路希望の書類出すのはいつ?」

と聞いた。

「来週末。再来週は三者懇談」


と答えると、母が


「そうだったわね。なんでもっと早く言わないの?」

と呆れたように言った。

――迷ってた

なんて隙をつかれるようなことは言えない。

えへへ

と笑うしかなかった。