三者懇談の日。

教室の外の廊下で、窓から見える、秋色に変わっている校庭の木を見ながら待っていると、仕事用のスーツを着た母が、歌織、と呼びながら隣に来た。

母は兄を20代前半で生み、末っ子の私を30歳で生んでいる。
歳より若く見える母は、父に似て洋風の顔立ちの私と違って、二重だが涼しげな目元で細くスッキリとした鼻に薄い唇の和風美人である。姉は母にそっくりであり、私達姉妹は似ていない。

「仕事戻るの?」

と聞くと

「今日は早退。このあとちょっと出掛けましょ」

と意外な言葉を聞いた。