「ここにはね、アラトみたいにニホンから来た勇者の人達が9人いてそのうちの1人には小学生の女の子がいるの。子どもだし戦いには行けないって判断されて、今はこの国の学校に通ってるの。だからギルドっていうよりは同じ境遇の人が集まってるだけで、そんなに血生臭くはないよ」
「へー!なんかいいな!」

マフユに付いて回って、案内されたダイニングルームに、マフユがさっき言っていた幼い少女が机で絵を描いていた。
こんな小さな子がこの病気に罹ってしまうなんて……とアラトは気になって少女に話しかけた。

「こんにちは」
「!」

アラトが声をかけると少女は驚いて、マフユの方へ駆けて行き後ろに隠れてしまった。

「マフユお姉ちゃん……お客さん来るなら教えて欲しかったよぉ……うー……」
「ごめん……。連絡するの忘れてた……。彼はアラト。リオちゃんと同じ病気に罹って今日、この国に来た人だよ」

リオと呼ばれた女の子は、マフユと同じ赤い目をしていて、黒髪が肩にかかるぐらいの華奢な体つきをしている。
マフユの顔を見た後アラトの顔を見て小さな声で、「こ、こんにちは、クニダカ リオ……です……」とマフユの後ろから少し顔を出して挨拶をした。

「こんにちは、リオちゃん! 俺はサキザカ アラト。今日この国に勇者として来たんだ!」

アラトはリオに近づいて「今日、1日だけここで過ごさせてもらってもいいかな?」と言うと、ニコっと笑った。

「私は大丈夫です……ミルフィは多分反対すると思うけど……」

リオがそう言うと、タイミングよく玄関の扉が開く音がした。